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EARNINGS REVIEW

ファーストリテイリング
2026年8月期
第3四半期 決算レビュー

証券コード 9983(東証プライム)/ 対象 2025年9月〜2026年5月(9か月累計)/ 開示 2026年7月9日

第3四半期累計は過去最高の業績となりました。売上収益は3兆651億円と前年同期を17.1%上回り、 本業のもうけを示す事業利益は33.6%増と大幅に伸びています。牽引役は海外ユニクロ事業で、 すべての地域で増収増益を達成。この好調を受けて会社は通期予想を上方修正し、年間配当も増配としました。

売上収益

3兆651億円
+17.1%前年 2兆6,167億円

事業利益

5,927億円
+33.6%前年 4,435億円

営業利益

6,143億円
+36.2%前年 4,510億円

純利益

4,261億円
+25.6%前年 3,391億円

※ 親会社の所有者に帰属する四半期利益。基本的1株当たり利益 1,388.62円(前年 1,105.36円)。金額は決算短信の百万円値を億円に丸めて表示。

IFRS基準の「利益の呼び方」を押さえておく
同社は国際会計基準(IFRS)を採用しており、日本基準の「経常利益」は使いません。利益は次の順で示されます。売上収益から売上原価・販管費を引いたものが事業利益(=本業そのものの実力。同社が最重視する指標)。そこに為替差益などの「その他収益・費用」や持分法損益を加減したのが営業利益。さらに金融収益・費用(利息・為替など)を加減して税引前利益、税金を引いて残るのが四半期利益で、そのうち親会社の株主に帰属する分が実質的な純利益にあたります。

01 ── PERFORMANCE

本業の利益が3割超の増益

事業利益・営業利益・純利益はいずれも大幅な増益となりました。増収率(+17.1%)を利益の伸びが上回っているのは、稼ぐ効率そのものが改善したためです。売上総利益率は前年から1.1ポイント改善して54.9%、売上高販管費比率は1.3ポイント改善して35.6%となり、事業利益率は約16.9%から19.3%へ高まりました。

主要利益の前年同期比較

単位:億円 / 前年(2024年9月〜2025年5月)と当期(2025年9月〜2026年5月)の9か月累計

6,000億 4,000億 2,000億 0 4,435 4,510 3,391 +33.6% 5,927億 +36.2% 6,143億 +25.6% 4,261億 事業利益 営業利益 純利益
前年同期 当期
税引前利益は6,582億円(+26.5%)。純利益は親会社の所有者に帰属する四半期利益。

02 ── DRIVERS

成長の柱は「海外ユニクロ」

好業績を牽引したのは海外ユニクロ事業です。売上収益は1兆8,340億円(前年同期比25.9%増)、事業利益は3,453億円(同45.4%増)と大幅に伸び、グループ全体の利益成長を支えました。地域別(現地通貨ベース)でも、中国大陸・韓国・北米・欧州・東南アジアがそろって二桁の増収増益となっています。

国内ユニクロも堅調、ジーユーは効率化で増益

国内ユニクロ事業は売上収益8,676億円(+8.3%)、既存店売上高は9.9%増と堅調でした。機能性商品やゴールデンウイーク・感謝祭商戦が寄与しています。ジーユー事業は売上収益2,656億円(+3.7%)ながら、原価低減と店舗オペレーション効率化で事業利益は28.0%増と大幅な増益。加えて金融収益・費用はネットで438億円のプラス(利息378億円+為替差益59億円)となり、利益を押し上げました。

稼ぐ効率が着実に改善

売上100円あたりに本業で残る利益(事業利益率)は、前年の約16.9円から当期は19.3円へ。人件費比率・賃借料比率の低下による販管費コントロールが効いており、規模拡大と効率改善が両立しています。

03 ── SEGMENTS

売上の約6割を海外ユニクロが占める

事業は「海外ユニクロ」「国内ユニクロ」「ジーユー」「グローバルブランド」の4区分。海外ユニクロが売上の約6割を占め、成長・利益の中心です。4事業のうち3事業が増収増益となる一方、グローバルブランド事業のみが減収減益でした。

セグメント別の売上構成

当期 売上収益 3兆651億円の内訳

海外ユニクロ 60% 国内 28%
海外ユニクロ 1兆8,340億(60%) 国内ユニクロ 8,676億(28%) ジーユー 2,656億(9%) グローバルブランド 963億(3%)
セグメント売上収益前年比事業利益前年比
海外ユニクロ1兆8,340億+25.9%3,453億+45.4%
国内ユニクロ8,676億+8.3%1,729億+15.1%
ジーユー2,656億+3.7%321億+28.0%
グローバルブランド963億−4.2%19億−33.4%
事業利益は各セグメントの本業利益(決算短信「経営成績の概況」記載値)。グローバルブランドは不採算店舗の集約を進めており、コントワー・デ・コトニエ等の店舗数は前年144店→77店へほぼ半減。

海外ユニクロが利益の約6割を創出

海外ユニクロの事業利益3,453億円は、報告セグメント合計(5,615億円)の約6割にあたります。北米はシカゴ旗艦店を含む大型店を出店、韓国は明洞にグローバル旗艦店を開くなど、質の高い出店でブランド力を高めました。世界最高益の原動力です。

04 ── OUTLOOK

通期予想を上方修正

好調を受けて、会社は通期(〜2026年8月)予想を上方修正しました。営業利益予想は7,300億円(前期比+29.4%)で、前回予想から300億円の引き上げ。9か月が経過した第3四半期時点で、利益はすでに通期予想の8割超に到達しています。

通期予想(上方修正後)に対する第3四半期の進捗率

点線 = 9か月経過=1年の4分の3(75%)の目安ライン

75% 売上収益 77% 事業利益 84% 営業利益 84% 純利益 85%
通期予想:売上収益3兆9,700億円(+16.7%)/事業利益7,100億円(+28.8%)/営業利益7,300億円(+29.4%)/純利益5,000億円(+15.5%)。

進捗が高いのは季節性も影響 ── 見方に注意

利益の進捗率が75%を上回っていますが、これは業績が先行しているだけでなく、第4四半期(6〜8月)が季節的に相対的に小さい四半期であることも一因です。同社は冬物需要の大きい第1〜第2四半期に利益が偏る傾向があります。とはいえ、上方修正と高い進捗は好調さの裏付けであり、為替前提の変化が今後の振れ要因となります。

05 ── BALANCE SHEET

財務は盤石、配当は増配へ

資産合計は前期末から5,730億円増えて4兆4,323億円。自己資本にあたる親会社所有者帰属持分比率は61.6%と、前期末(58.9%)からさらに高まり、財務基盤は極めて健全です。年間配当は前期の500円から640円へ引き上げる予想で、株主還元も強化されています。

親会社所有者帰属持分比率 61.6%

総資産に占める、返済不要の自己資本の割合。60%超は財務的にきわめて安定した水準です。営業活動によるキャッシュ・フローも6,501億円(前年4,271億円)と大きく増加しました。

年間配当 640円(前期比+140円)

中間320円+期末320円(予想)で、前期の年間500円から大幅増配。1株当たり利益は1,388.62円(前年1,105.36円)と伸びており、増配を支える利益の裏付けは厚くなっています。

06 ── SUMMARY

評価と、見ておくべき論点

評価できる点

  • ユニクロ事業が全地域で増収増益、連結で過去最高益
  • 海外ユニクロが急伸(事業利益+45.4%)し成長を牽引。
  • 粗利率・販管費率がともに改善し収益性が向上
  • 財務は盤石(自己資本比率61.6%)、上方修正+増配

留意すべき点

  • グローバルブランド事業は減収減益(店舗網を集約中)。
  • 海外比率の上昇で為替・関税・地政学の影響を受けやすい。
  • 第4四半期は季節的に小さく、通期の着地は次の四半期で確認

目指す方向 ── 「グローバルNo.1ブランド」へ

同社は、世界で信頼される「グローバルNo.1ブランド」を掲げ、①経営人材の育成 ②海外ユニクロを成長の柱とした質の高い出店 ③ジーユーなどグループブランドの拡大 ④インフレ時代に合わせた経費構造の改革 ⑤LifeWearを軸にしたサステナブルな服づくり、に注力しています。今四半期は、その戦略が世界最高益という形で結実した決算といえます。